過疎を片手に

「過疎を片手にとる会」を私たちが旗揚げした頃のことですから、今から35年くらい前でしょうか。まちづくりの世界では当時、「高齢者が多いから活力がないんだ」といった見方が珍しくありませんでした。
 極端に言えば、高齢者が悪者扱いをされたのです。「それは違う。高齢者は生きる名人だ」と考えていた私は、名人市を想いつきました。
 ところが、肝心の高齢者は反対でした。「私達か作ったものなんか売れるわけがない」と。自分たちの力を信じていなかったのです。
 「大丈夫、売れます。もし売れなかったら、私が買い取ります」。そういってくれた妻の後押しもあり、無理やり市を開きました。すると、2時間もしないうちに売り切れ続出で、私は「申し訳ありません」と謝罪係りに。高齢者の皆さんは万歳三唱でした。
  中国新聞 2/7日 オピニオン記載の「逆手塾」会長 和田芳治さんの記事より