犬猿の仲

 野生動物による被害のニュースが絶えない。クマに襲われたり、イノシシに突かれたり・・・。とくに深刻なのが、猿による農作物被害だという。
 平成十六年度の猿による農作物の被害総額は全国で約十六億円に達し、前年比七千万円の増加となっている。問題なのは、県によってはニホンザル絶滅危惧種に指定されているため、駆除することができない点。
 そこに救世主が現れた。古来「犬猿の仲」として認知されてきた犬である。犬を使って猿を追い払う方法が、いま全国的に注目されている。先日テレビで放映されていたので見られた方も居られることでしょう。
 これまでは、ゴム散弾などで威嚇するくらいしか手がなかった。電気柵を設置しても、頭が良いのですぐ見抜かれるし。ところが、昨年から「モンキードッグ」による、犬による追い払いを導入した地域には猿が出没しなくなった。
 世界的にも、北限の猿、として貴重な種であるニホンザル。絶滅寸前の状態を鑑み、国を挙げて手厚く保護してきた。しかし、政府による山林事業破綻のとばっちりを受けたのが、猿やイノシシをはじめとする野生動物による被害である。
「猪、猿害は、里山の生活文化が破壊されてから増えたのである」。住民の減少や高齢化が進み、山の手入れもされず地域の共同体は崩れ、そこへ猪、猿が食べ物を求めて逃げてきたと言うことの様である