過去の日記(中国新聞より)

oekat82005-05-16

 ふるさとを守るこころ。
 
泥落し

 田植え終え 生育祈る。
 田植えが終わると、「泥落し」といって、田の神様、サンパイサンが山へ帰られるのを祝う。 神棚にはお供え物をする。 昭和二十五年頃までは、学校もこっそり半日で下校にしてもらい、親類一同が集まっている家へ行った。 マキシバ(サルトリイバラ)の葉で包んだマキという蒸しまんじゅうをたべた。 マキは今でもスーパーで売っており、八十四歳の母の好物だ。 子供たちは家の外へ飛び出し、グミやキイチゴの木にさばる。
 泥落しが終わると、田車回しだ。 田車回しは、田んぼの雑草除去と、苗の根に酸素を送るためにする。 田車も木と竹でできた一条回しから、二条一度に回せるステンレス製のものに改良された。 腰に、苗を入れた「ほぼろ」と呼ぶ小さな竹製のかごを付けて、田植えの植え残しを補う作業もする。 これを間植えと呼ぶ。 ドジョウやタニシ、イモリのいる田んぼに、カエルの歌を聞きながら田車を回していく。 そして、田んぼへ四つんばいになって草取りだ。 アジアの食を支える田んぼの歌を歌いましょう。 ミミズと一緒に歌いましょうー。 空の白い雲をつかんでいるような晴れやかな疲れが訪れる。 腰を伸ばすと、おしゃべりツバメの直角飛行が見える。
 文、池田一憲 画家 島根県旭町  中国新聞 5/16日 洗 心

 遠い昔の子供時代を思い出す。 ■マキはこの地方では俗に、カシワ餅とも言う。 田車とは、手押しの田の草取り器。 間植えとは、植えつぎとも言う。 ほぼろは、藁で作った物入ればかりと思っていたが、竹篭もほぼろ。 この地方では、嫁さんが「ほぼろを売って帰った」と言う事にもつかう。 泥落しには牛を海に入れ体をキレイニ洗っていた。マキシバ(サルトリイバラ)と言う植物とはしらなかった。