医学(小話)

 医学部の学生が、初めて人体解剖を行う日がきた。 寝台に乗せられた検体には白いシーツが掛けられ、それを囲むように教授と学生が集まった。
 「まず、君たちに注意を述べる。医療の現場は、どんことでもしなければならない覚悟と勇気が必要だ」
 教授は白いシーツをめくり、検体の尻の穴に指を突っ込むと中をまさぐり、それから指を出して、舐めた。
 「私と同じようにやってみなさい」 学生は顔を見合わせてためらっていたが、覚悟を決めて次々に、教授と同じようにやってみせた。
 全員を見届けると教授が言った。 「医学では注意深い観察も大事である。 私が検体の尻の穴に入れたのは親指だった。
 しかし、舐めたのは一差し指だ」
週刊新潮 大人のマンガ 記事より