思い込み

 地名の読み方にしても、何かの拍子に自分の間違いに気付くことがある。幾らでも気付きのチャンスがあったはずなのに、長いあいだこれが正しいと思い込んでいたのである。
 こんな思い込みであれば、他への影響は少ないかもしれない。しかし、これが自分の考え、やり方が正しいと思い込み、他を誤りだと断ずれば、そこから無益な対立や争い、あるいは停滞が生まれよう。
 考え方でも、遣り方でも、あるいは事実認識においても、人間は一度思い込むとそこからなかなか抜けられないものらしい。
 「思い込み」という殻にさえぎられて、いくら正しいものを見ても、正しいことを聞いても、それは眼にも耳にも入らない。人にはその様に頼りない一面もあるらしいのである。
 それだけに、時には静かに自分は間違っていないかどうか、とらわれていないかどうかを反省する時間を持ちたいものである。