変見自在 

 欧州列強がアジア諸国を支配し、阿片を売りさばいていた時代、何とか独立を保っていたのが日本と中国とタイの三か国だった。それで日本は中国の青年を日本に留学させ、近代化を急がせた。
 いつの日か手を携えてアジア諸国の自立支援を図ろうとした。魯迅、周作人兄弟も周恩来蒋介石汪兆銘もそれで日本で学んだ。留学できない若者のために日本政府は上海や南京に大学を開いた。
 江沢民はそこで学んで今でも流暢に炭坑節を歌える。しかし中国人は孫文の行動が示したように、そういう大義より自分の栄華の方に関心があった。
 蒋介石は日本を裏切り、アジア諸国を見捨てて米国のカネになびいた。周恩来はロシアになびいて日本を陥れた。その衣鉢を継いだ江沢民反日で食える道を開いた。
信義を忘れた中国と対照的なのがタイだった。タイのワンワイタヤコン殿下は戦後、国連議長に就任するや、日本の国際社会復帰、とくに国連加盟に尽力してくれた。
そのゆかしさの対極にあるのが朝鮮だろうか。日本はこの国にも中国と同じに近代化を促し、留学生を迎えいれた。しかしやってきた連中は「まず金庫荒らしをした」と福翁自伝にある。
その国が戦後、独立するが、国政の基本が反日日帝支配の非難から始まって李ラインに反日法に、最近では日本の国連安保理常任理事国入りにも断固反対を貫いている。
今、この国の様子がテレビで流される。学者がインチキ論文を書いても、大騒ぎして、腹を切るわ、国会でも街頭でも労使紛争でも乱闘して泣き、叫ぶ。これが我が国の周辺国である。
その外相が今度、アジアから出る国連事務総長に立候補をきめ、どの顔をさげてか、日本に支持を頼んできた。さあどうする日本政府。ちなみに、この対抗馬にはタイのスラキアット副首相が立つ。
 週刊新潮 3/2日特大号 帝京大教授 高山正之さん記事より引用