うつりかわり

 最近の正月は、昔に比べて、情緒も華やかさも、静かさもなくなった。 テレビや新聞で正月だと宣伝しないと、普段と正月と見分けがつかない。 はるか、昔子どもの頃の正月は違った。 玄関にはしめ飾り、床の間には鏡餅を供え、晴れ着をまとい、女の人は日本髪を結って、張り替えたばかりの障子とふすまが新しく輝き、火鉢の炭がパチパチはぜる部屋で、お雑煮を食べる。 おさけを飲み、百人一首などの優雅な遊びに興じる家もあったらしい。 昔我々が子供のときは「寿司、巻き寿司、カマボコ」等はそれこそ、盆と正月、祭りしか食べる事がなかった。 今ではいつでも食べたい時に食べられる、考えてみれば誠に良い世の中になったものよ。